国税庁が「軽減税率制度に関するQ&A」を公表しました

とうとう、国税庁が個別事例編としてQ&Aを公表してしまいました。

官僚は日本でもトップクラスの頭脳を持つ方々の集まりです。正気で出したとは思えない内容ですが、この程度の内容では、全く実務では役に立たない、寧ろ混乱を仰ぐことになる気がします。ただ、読み物としては大変面白い内容ですので、一読ください。

今後、順次、批判、反論などが出てくると思いますが、個人的に面白かったのは「問2 当社は畜産業として肉用牛を販売していますが、生きている牛の販売は、軽減税率の適用対象となりますか。」という質問です。

回答は「「食品」とは、人の飲用又は食用に供されるものをいいますが、肉用牛、食用豚等の生きた家畜は、その販売の時点において、人の飲用又は食用に供されるものではないため、「食品」に該当せず、その販売は軽減税率の適用対象となりません」ということで税率は10%になります。

何となく、そうなのかなあと言う気もしますが、次の質問を見てみましょう。

「問3 当社では、食用の生きた魚を販売していますが、軽減税率の適用対象となりますか。」と次に魚のケースになると、回答は「「食品」とは、人の飲用又は食用に供されるものをいいますので、人の飲用又は食用に供される活魚は「食品」に該当し、その販売は軽減税率の適用対象となります」となり、今度は8%が正解となり、全く反対の回答になっています。

これはどこで区別しているのでしょうか。大きさでしょうか?同じ生き物でも、牛や豚は10%だけれど、魚であれば8%というのは、どうかと思います。

とまあ、この手の批判は今後、枚挙をいとわないほど出てくると思いますが、個人的に一番問題視したいのは、免税事業者に対する扱いです。最後のほうで、さらっと書いていましたが「免税事業者は、取引に課される消費税がないことから、請求書等に「消費税額」等を表示して別途消費税相当額等を受け取るといったことは消費税の仕組み上、予定されていません。」とのことですが、これは明らかに先般の消費税転嫁対策特別措置法の規定に反していると思います。実際に公正取引委員会の公表している消費税の転嫁拒否等の行為に関するよくある質問の中では「特定事業者は,本体価格に消費税を上乗せして対価を定める必要がありますが,免税事業者であることを理由として,消費税を上乗せせず対価を定めたり,仕入れ等の諸経費に係る消費税負担分のみを上乗せして対価を定めたりすることは,合理的な理由がない限り,「買いたたき」(消費税転嫁対策特別措置法第3条第1号後段)に該当し,違反となります。」と書かれており、免税事業者であっても消費税を請求することを認めています。

同じ国の期間であっても一方はダメといい、一方はOKという。こんな状態で本当に制度として成り立つのでしょうか。

今後の議論の深化に期待します。

 

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