ニュースなどでも話題になっていますが上場株式、公募株式投資信託の配当所得・譲渡所得等にかかる税率は、2013年12月末をもって軽減税率は終了し2014年1月から本来の税率20%※1にもどりました。
不労所得に対する増税は致し方ありませんが、一方で個人投資の助長制度として少額投資非課税が始まることになりました。イギリスののISA(Individual Savings Account:個人貯蓄口座)を参考にしていることから日本版ISAと呼ばれているようです。この日本版××という名称は結構聞き飽きてきた感じがします。日本版401K、日本版SOX法などわれわれ会計業界に関することだけでも結構あります。異分野でも同様の言葉があるのでしょうね。
さて、この日本版ISAですがなかなかややこしい。一方で金融機関などはひともうけできるとあってか、まだ制度も固まっていない状況ですでにホームページなどで大々的に宣伝をしています。また証券会社をもうけさせてるのかあとうんざりしますが、知らないわけにもいかないので簡単に説明しておきます。
大体書かれていることは同じですが、再度、ここでまとめてみます。
少額投資非課税制度「日本版ISA」の概要
非課税対象 非課税口座で購入した株式投資信託や上場株式の配当所得・譲渡所得
利用資格者 非課税口座を開設する年の1月1日において20歳以上の居住者
口座開設期間 2014年から2023年(10年間)
非課税となる投資枠 毎年100万円が上限
非課税期間 投資を始めた年を含めて最長5年間
1年あたりの非課税枠 最大500万円(100万円×5年間)
概要はこういうことらしいですが、これを見てもいまいちピンと来ないので、具体例を書いておきます。
たとえば2015年に100万円(限度額)の投資を行います。 これから5年以内に売却したとします。その時の売却価格が200万円であれば100万円(200マイナス100)の譲渡所得が発生し、税率は20%及び復興税2.1%が課税されますが、この非課税制度を利用すると税金はかからないことになります。
非常にメリットは大きいですがその分、制約もあります。ひとつは5年以内の投資であること、そして投資額は500万円が限度になります。
よって単純に税率を20%と仮定すると節税額は100万円(500×20%)が上限ということになります。
つまり、いかにこの上限いっぱいの節税効果を生み出すスケジュールをもって投資を行うかということになります。
一般的に考えられるのは制度開始から毎年100万円の投資を行い、非課税期間が満了する5年目に新たに発生する非課税枠に100万円を移転させることになります。そして次の非課税期間の満了時点で売却していくという流れになります。よって10年間の保有を前提にした投資を検討することになりそうです。
ここまでで大体察しはつくと思いますが、最近はやりのデイトレには向かない制度です。