所得税の基礎控除が見直しされる

先日から配偶者控除の見直しについての新聞記事でにぎわっておりましたが、今度は基礎控除まで見直し対象になった模様です。

基礎控除というのは所得から一律に38万円控除できるという人的控除ですが、今回の見直しの原因は配偶者控除の見直しにあるそうです。

現在の報道では、配偶者控除の廃止の代わりに、夫婦控除を創設するとのことですが、夫婦であれば、配偶者の所得に関係なく所得控除を設けるとなると、今度は全体の税収が少なくなる可能性があるため、基礎控除を減額させて、税収の調整を行うということのようです。

また、これも新聞に書いてある内容ですが、基礎控除に限らず、所得から一律に控除する所得控除という制度は、高額所得者ほど減税額が大きくなるため金持ち優遇」と批判されているとのことです。

正直、私は所得控除という制度が金持ち優遇制度だとは思いませんし、またそのような主張をする人を聞いたこともなければ、またそのよう主張する方がいれば、見識を疑います。

高額所得者ほど減税額が大きいというのは、所得税が採用している累進課税に所以するものと思われます。すなわち、所得が高いほど、より高い税率が採用されるため、基礎控除が一律38万円であれば、低所得者は1万円程度しか税金は安くならないけど、高額所得者は10万円も安くなるといった認識なのでしょう。

しかし、これは所得控除が原因ではなく、累進課税という制度が原因なのです。ここで金持ち優遇などと非難すれば、所得税の根本的な体系を非難することと変わりありません。

税法の理論的な体系を曲げてまで、税収確保に走るというのはやはり専門家としては解せないものがあります。

38万円の基礎控除を縮小するという案もあるようですが、学生のときに友人と「これって一日1000円で暮らせってことだよね。無理じゃない。」と話をしたことを思い出します。

私が税法に初めて触れたころにはすでに基礎控除は38万円であった。もう20年近く前のことになろうか。基礎控除は昭和59年33万円、平成元年35万円、平成7年38万年と推移している。一件、増加しているように見えるが、これは消費税の導入と税率引き上げに伴う上乗せであり、実質的には基礎控除は30数年間変わっていない。それどころか、これまでは少なくとも消費税の増税に伴い基礎控除も上げてきたが、一昨年の8%への増税分の基礎控除の上乗せは行われていない。それどころか、基礎控除縮小の方向で議論されている。

今後の議論を見守るほかないが、誠実な対応をしてもらいたいと思います。

 

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