電通の過労死事件が話題になっています。労働者であった女性が東京大学卒業の才女であったこと、電通といういわば憧れの会社で起きた事件であることなどといった要因も重なり非常に話題になっています。この事件について、ネット上では様々な意見が交わされていますが、最悪な結果になったという事実を受け止め、原因の解明と改善が求められることは言うまでもありません。
今回の事件は三田労働基準監督署が労災認定を行ったことに端を発していますが、私たち会計事務所のお客様は中小零細事業者であり、多くが数人で行っている事業会社になります。中には社長だけ、または家族だけという会社も少なくありません。
これまでも過労死による労災認定されたというケースは少なからず報道されてきましたが多くの場合、労働者VS会社という構造の中で語られていますが、現実には労働者イコール会社という企業のほうが圧倒的に多いはずです。
このような会社の場合、社長であるが実際に現場に足を運び作業を行うわけで、何ら一労働者と業務内容が変わることはありません。それどころかプラスアルファで労働管理、経営管理といった管理業務まで行うため、背負うストレスは計り知れません。
労災保険は労働者のもので事業者は対象外となっているため、当然労災認定などありえません。一部特別加入という制度もありますが、すべてカバーされるわけでもなく、また加入には事務組合という団体を通す必要がありなぜか組合費を徴収されます。税金を支払うのに組合費がもれなくついてくるというのですから、利権と疑われても仕方ありません。
また特別加入での過労死認定というのは通常ありえないと聞きます。自営型労働者は「裁量と自主性が認められている」ため労災認定は難しいようです。
勝手に会社起こしたんだから自己責任だと済ませることもできますが、実態は一労働者です。もう少し、この点に注目して労働環境の向上を図ってもらいたいものです。