公務員の副業について

先日、知り合いからある相談を受けました。

簡単に概要を書くと、子供が公務員をやっているが、不動産収入を得ても問題ないのかというものです。

一般的には公務員と言えば副業は禁止されているといったイメージが強いかと思いますが、現実はそうでもありません。銀行のローンが通りやすいこともあり、少なからず、不動産投資を行っている方はいらっしゃると思います。

大阪市の公務員の場合を例に、本当に副業が可能なのかどうかひも解いてみたいと思います。

まず、大阪市の公務員は地方公務員に該当しますので、地方公務員法の条文で副業に関して規定しているか確認してみます。

地方公務員法38条

職員は、省略)自ら営利を目的とする私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。

キーワードは「自ら営利を目的とする私企業」とは何ぞやということになります。

次に大阪市の条例を確認してみましょう。

職務に専念する義務の特例に関する規則第2条1項4号

職員があらかじめ任命権者(その委任を受けた者を含む。以下同じ。)の承認を得て、職務に専念する義務を免除される場合は、次の各号に掲げる場合とする。

2号 職員が法第38条及び営利企業等の従事制限に関する規則(昭和26年大阪市人事委員会規則第5号)の規定により任命権者の許可を得て、営利企業等に従事する場合(自ら営利を目的とする私企業を営む場合を除く。)

最後のカッコ書きには「自ら営利を目的とする私企業を営む場合」が除かれています。つまり、任命権者の承認があっても、自ら事業をすることは認めないという内容のように読めますが、「自ら営利を目的とする私企業」の定義は不明です。

残念ながら、これ以上の条例の規定は設けられていないようですので、他の法令で「私企業」の定義を探すことになります。

人事院規則14―81項関係

3項「自ら営利企業を営むこと」(以下「自営」という。)とは、職員が自己の名義で商業、工業、金融業等を経営する場合をいう。なお、名義が他人であつても本人が営利企業を営むものと客観的に判断される場合もこれに該当する。

4項前項の場合における次の各号に掲げる事業の経営が当該各号に定める場合に該当するときは、当該事業の経営を自営に当たるものとして取り扱うものとする。
一 (省略)
二 不動産又は駐車場の賃貸 次のいずれかに該当する場合
 (1)不動産の賃貸が次のいずれかに該当する場合
  イ 独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること。
  ロ 独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上であること。
  ハ 土地の賃貸については、賃貸契約の件数が10件以上であること。
  ニ 賃貸に係る不動産が劇場、映画館、ゴルフ練習場等の娯楽集会、遊技等のための  設備を設けたものであること。
  ホ 賃貸に係る建物が旅館、ホテル等特定の業務の用に供するものであること。
 (以下省略)

 (3)不動産又は駐車場の賃貸に係る賃貸料収入の額(これらを併せて行つている場合    には、これらの賃貸に係る賃貸料収入の額の合計額)が年額500万円以上である場合

つまり、不動産経営は「自ら営利を目的とする私企業」の運営にあたるけれども、10室未満の小規模な不動産経営は該当しないということになっています。

その他、駐車場や太陽光パネルの設置なども例外規定として設けられており、公務員の副業は認められております。

ちなみに収入要件の500万円は賃貸料収入と規定していますので、利益ではありません。年間100万円の家賃収入がある部屋であれば5室未満である必要がありますので注意が必要となります。

 

 

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