国民年金は支払うべきか

先日、代議士の小泉進次郎氏が保育所無償化の財源として子ども保険の提唱と富裕層への年金の返上を求めているという記事を読みました。子ども保険に付いては社会保険料の上乗せとなるのでしょうから、今後の議論を待つとして、富裕層への年金の返上を求めるというのは小泉氏らしい政策だと思います。返上された富裕層には勲章が与えられるという。私には到底無理なことですが、特に反対する理由も見当たらないように思います。

さて、一方で、我々、現役世代の庶民にとっては、そもそも毎月の年金の納付自体に四苦八苦しています。

これも先日の新聞で、国民年金の納付率が上昇しているとの記事がありましたが、それでも4割は未納とのことです。免除されている方を含めた実質的な納付率は4割程度ということらしいです。国民年金に加入すべき人の半分以下しか実際に保険料を払っていないというのは衝撃です。

そこにきて、年金の支給資格期間がこれまで25年とされていたものが、10年と変更されることとなりました。

そこで、悩むのが国民年金は払っておいたほうが良いのだろうかという疑問です。もちろん、国民年金の納付は義務ですので、払う払わないという選択はあり得ないのですが、現実問題として支払っている方が驚くほど少ないのも事実です。

当然、我々も仕事柄よく聞かれる内容なのですが、答えははっきりとしています。

「払いましょう」

これは義務だからという税理士の職務倫理から申し上げているのではありません。国民年金制度以上に有利な保険制度は、少なくとも日本国では考えられないからです。同じ内容の保険を民間会社が販売することはまずできないと思います。

考えてみれば当然です。現在の保険料が16000円ほどですので、満額の40年掛けたとして、納付総額は768万円です。現在の国民年金の満額支給額は779300円(平成29年4月以降)のようです。つまり、10年弱で元が取れるということです。65歳から受給を受けたとして74歳で掛け金は回収できます。仮に納付期間が10年であっても、国民年金は納付期間で按分されるので、結果は同じです。

今年の4月に厚生労働省が公表した日本国民の平均寿命は男性81歳、女性87歳です。

平均寿命まで生きれば必ずもとは取れます。何より一生涯保証してくれるという安心感は、国が行う制度だからこそ可能なのです。

なぜ、こんな有利な保険制度を運営できるかというと、保険料だけではなく、年金制度を維持するために多額の税金を注入しているからです。

ご存知のように消費税の増税は社会保障制度を維持するための財源に使われます。

そして消費税の負担者は我々国民です。私たちが買い物をする度に、消費税という形で国に税金を納めているのです。

もちろん、現在の年金制度には不公平な部分も少なからずありますが、そもそもが、社会保障の世界での平等というのは、ビジネスの世界での平等とは違うということも意識しなければなりません。

あれこれ書き始めると長くなるのですが、年金を払うくらいなら自分で貯金するというのはナンセンスです。前述の年金返上をされる方々のように一生お金に困らないほどの貯金が出来る人など、ごくごく僅かです。もちろん、彼らは国民年金よりもさらに多額の年金保険料を支払った上で、返上するというのですから立派なものです。一方で多くの方は将来に不安を持っています。長生きをすればするほど、お金の心配が膨らんでいくというのでは、本当に気の毒です。

 

 

 

 

 

 

 

 

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