変化する会計事務所の業務

依頼できるのは税務だけじゃない。
税理士事務所に依頼できることは税務代理や経理代行だけにはとどまらない。キャッシュ面での負担を少しでも減らす為に覚えておきたいのは、中小企業の大きな悩み事である資金繰りの場面で役割をはたしてくれることだ。
税理士によって得手不得手はあるものの、金融機関との直接交渉で強力な存在感をみせてくれる場面がある。また、税理士が企業の会計面をチェックすることで、金利などが優遇される金融機関の商品がある。書面添付制度の活用や会計参与の設置、中小企業向け会計ガイドラインのチェックリストの導入などを実行している会社に対する優遇融資商品がそれだ。
書面添付と会計参与、会計ガイドラインのチェックリストは元々、金融機関の優遇融資を受けるための制度ではない。しかし、税理士が関与していることの証明になり、財務書類や経営状況に関する信頼性が高いとみなされ、結果的に優遇されるという理屈だ。それぞれの制度は基本的にここ数年間で登場したものばかり。国が期待する税理士の新たな役割に関するものであり、別の見方をすれば税理士が中小企業に提供できる新たな業務とも言える。
まず書面添付制度は、税務署に税務申告書を提出するときに顧問税理士が決められた書面を添付する制度を指す。昭和31年からある制度だが、平成14年の税理士法改正でその効果が強化された。税務調査を受ける場合、まず書面を添付した税理士に対し、書面に記載されたないように関して意見を述べる機会が与えられることになったのだ。もし税理士の意見で税務署が納得すれば実地調査の省略もあり得る。どんな経営者にとってもありがたくはない税務調査を事前にブロックする可能性が期待できるとあって、新制度開始から10年経つなかで少しずつ利用率が高まっている。次に会計参与だが、これは平成17年交付の会社法で創設された制度だ。就任できるのは会計の専門家である税理士または公認会計士。取締役と共同で計算関係書類を作成することなどを職務としている。この制度を導入することで、経理部門の強化や、計算関係書類の記載の正確さに対する対外的な信頼性が高まるとされる。報酬は定款や株主総会でさだめることになっており、必ずしも高額と決まっているわけではない。対外的なアピールの為に設置を検討することも十分考えられる。
そして会計のガイドラインのチェックリストは、二つの中小企業向け会計ガイドライン「中小企業の会計に関する指針」(中小指針)と「中小企業の会計に関する基本要領」(中小会計要領)のどちらかに準拠していることを税理士や会計士が確認するもの。中小指針は平成17年、中小会計要領は24年に公表された。国としてはガイドラインを中小企業に普及させることで、中小企業が会計データで経営状況を把握し、経営改善につなげることを期待している。
税理士が関わるこれらの制度を盛り込んだ優遇融資では、事務手数料の免除や0.2%程度の金利優遇などが受けられる。商品の中には、書面添付と会計参与、会計ガイドラインのチェックリストをすべて活用することで、金利の優遇率が積み重なっていくものもある。税理士のお墨付きで資金繰りが有利になる仕組みはまだ日が浅く、活用していない中小企業も多いだろう。税理士事務所に依頼するメリットの一つになるので覚えておきたい。もちろん資金繰りの面からだけでなく、各制度本来の効果を経営に役立てることも検討すべきだろう。

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