消費税転嫁

こんにちは。武田会計事務所の武田です。

先ほど調べものがあり、ネットサーフィンをしていたら、「H26消費税転嫁等実態調査(第1回)結果報告書」なる資料を見つけました。何となくぱらぱらとみていると、「軽減税率の導入への対応」というアンケート結果が掲載されていました。

会計ソフトやレジスターの買い替えなどが対応策として比較的割合が高いのは分かりますが、5.4%の方が「負担が大きいので廃業を検討する」と回答しています。

多分、この心情は政治家の方々にはわからないのだろうと思いますが、零細企業の方にとってはかなり現実的な回答だと思います。

今でも消費税の計算は一般の方には分かりにくいと思いますが、これが更に複雑になることは事実です。最近の新聞報道ではこのあたりの不満への対応策なのか軽減税率の対象項目は精米だけなどというかなり限定的な試案が出されてきています。

仮に精米だけとなった場合、レストランが購入する場合はどうなるのでしょうか。精米の購入は全て軽減税率の対象となると言うことであれば、レストランでの材料費は下がることになります。すなわちその分の飲食代の値下げもなければ、実質的な値上げになってしまいます。ただ、単純に税収という観点からみれば、実質的な値上げ分も消費税として国庫に納められることになるので、国が10%を超える消費税を国民に課すことになります。消費税の増税の場合に絶えず語られる益税を国が享受することに外なりません。

軽減税率の導入にはいくつかの試案が出されているようですが、基本的に食料品の範囲をどこまで認めるかに落ち着きそうです。軽減税率の対象となる食料品の範囲が広範囲になればなるほど、国が享受する益税も膨大になってきます。

一方でレストランなどの飲食店が商売の材料のために購する食料品は除外するということになれば、問題はさらに複雑になります。そもそもスーパーのレジ係はいちいち商売のために購入するのかヒアリングをしたうえでレジを打ちこむのでしょうか。小規模な飲食店の場合、個人の買い物と飲食店としての材料を一緒に購入するケースもあると思います。そうすると、購入する側も商売用と個人用とを区別して購入する必要が出てきます。

軽減税率導入に積極的な政治家はこの問題をどのように考えているのでしょうか。表面的に耳触りのよい主張に終始していないか。

消費税という税金はとにかく問題が多い。昨年の消費税増税後、公正取引委員会が転嫁問題に関する相談窓口を設けて対応にあたっているようだが、ビジネスの世界はそれほど単純には出来ていない。こんなところに実名で相談に行けば、多くの場合、以後の取引は無くなるもしくは縮小されるだろう。

中小企業のさらに下請けになれば免税事業者も多数存在する。国の見解では免税事業者であても一律に消費税分を上乗せして支払えと言う。しかし上乗せした分は決して国庫に納められることはなく、単なる益税として個人の財布に入るだけである。一方で元請け会社の下請け程度にあたる中小企業では、消費税の増税にあたり何らかの圧力がかかっているケースが多数存在する。実際に今回のアンケート結果を見ても十分な転嫁が行われていないと言う回答が半数近くを占めている。

予想ではかなりの中小企業が転嫁は不十分だが、支払い額は増加したという2重苦のケースが生じていると考えている。

増税そして軽減税率と消費税の仕組みを変えれば変えるほど、中小企業は苦しみ、一方でより多くの益税を享受できる層が出てくる。

増税自体は既に決まったことであり、今さら覆される可能性はゼロに等しいだろうが、さらに軽減税率を導入して、益税問題に拍車をかける必要性は微塵も感じない。

それよりも所得税率の見直しなどいくらでもシンプルな弱者救済策はあると思うのは私だけだろうか。

 

 

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