武田会計事務所の武田です。
当社では現在、新規採用を募集しておりますが、応募されてくる方々の年齢層は様々ですが、その中での私の親世代の方からもご応募も最近増えてきている気がします。
当然採用する側としては、なるべく若い世代を採用し長期的に雇用をしていきたいと思うのですが、一方で、大変魅力的な経歴をお持ちの高齢者の方もいらっしゃいます。
そこで、思いつくのが特定求職者雇用開発助成金です。この助成金は厚生労働省のホームページによると「雇入れ日の満年齢が65歳以上の離職者をハローワーク等の紹介により、1週間の所定労働時間が20時間以上の労働者として雇い入れる事業主(1年以上継続して雇用することが確実な場合に限る。)に対して、賃金相当額の一部が助成されます。」と紹介されています。
高齢化社会を迎え、生涯現役で活躍頂くための素晴らしい制度だと思いますが、対象になる労働者にはいくつかの要件があります。
①雇い入れに係る事業主以外の事業主と一週間の所定労働時間が20時間以上の雇用関係にない方
②雇用保険の被保険者資格を喪失した離職日の翌日から3年以内に雇い入れられた者
③雇用保険の被保険者資格を喪失した離職日以前1年間に被保険者期間が6カ月以上あった方
①については通常は問題はないと思われますが、②③については大いに問題があります。
離職日以前の1年間に被保険者であったことという要件は一般の労働者であれば問題になることはありません。なぜなら雇用保険の加入は雇い主の義務だからです。
しかし65歳以上の高齢者の場合、雇用保険への加入は現在の制度上出来ません。65歳以前から継続して同一の職場で働いている場合であれば継続被保険者として保険料は免除された状態で被保険者としての立場を享受できますが、いったん退職をしてしまうと、雇用保険へは未加入となり、その後転職を行おうとしても、事業主は特定求職者雇用開発助成金の活用をすることが出来なくなります。
制度上は65歳定年から3年内に再就職するまで(60代後半まで)の活用を想定しているように思われますが、現実には70歳を超えても、まだまだ現役で活躍したいと言う方は少なくないように思います。
生涯現役を実現するには、現在の助成金の制度は少し欠陥があるのではないかとふと思うことがあります。