特定派遣の廃止

一部の業種では話題になっていますが来月平成30年9月末をもって、特定派遣と言われる形態の派遣形態が廃止されます。特定派遣というのは自社が雇用する社員を他社へ派遣する形態を指します。通常の派遣と異なり、正規雇用されている社員ですので仮に派遣先への出向が無くなったとしても雇用が失われることはありません。

これだけ聞けば、通常の派遣よりも労働者が優遇された制度のように思われますが実態はそうではありません。

通常の派遣業のような許可制を取っていないため、全く信用も資金もない会社であっても特定派遣であれば行うことが出来たため、特定派遣を行う会社が乱立し、結果的に一般派遣業の許可を得ることが出来ない会社にとっての抜け道として利用されるケースが非常に多いのが実情でした。

個人的な感覚としては特定派遣を行う会社の半数以上は一般派遣の許可要件は満たせないはずです。

とはいってもこれだけ特定派遣を行う会社が乱立した状況の中で突然、廃止、一般派遣への切り替えを行いなさいと言われても、その多くは要件、特に財産要件を満たすことが出来ず、事業の継続が難しくなります。

そのため、暫定的な措置とはなっていますが、特定派遣を行っていた会社が一般派遣の許可に変更する場合に限り、財産要件が大幅に緩和されています。

派遣労働者が5名以下の場合は基準資産額 500 万円、預貯金400万円となっており、通常の派遣業の要件の1/4(基準財産額2000万円、預貯金1500万円)ほどまで緩和されています。

大盤振舞な措置ですが、結果的にまだまだ財産基盤の弱い派遣会社の乱立を認めることとなり、労働者の不安定な立場の解消には至っておりません。

また受け入れ先としても、特定派遣から切り替え組の派遣を受け入れる場合は、会社の与信調査には十分に配慮する必要がまだまだありそうです。

 

 

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