積み立てNISAが新設されます

武田会計事務所の武田です。

2017年度税制改正において積立NISAが創設されることとなりました。

内容は紆余曲折の後、年間投資額40万円、非課税期間20年とされました。これまでのNISAでは非課税期間は5年間と短期間の投資しかできなかったため、税金がかからないと大々的に謳いながら、反って損する可能性がかなりあります。

NISAのメリットは言うまでもなく、NISA口座の範囲内での売買には税金がかからないということですが、税金がかからないというメリットを享受するためには、投資対象が値上がりしていることが前提です。しかし、投資とは必ず得するとは限りません。ましてや原則として5年という短期の投資しかNISAのメリットは効力を持たないため、値下がりしたまま期間満了を迎えた投資対象は、売却するか、一般口座に移行するかを選択する必要があります。売却すれば当然損失が出るため、通常であれば他の運用益と損益通算が出来ますが、「NISA口座では、上場株式や株式投資信託等の配当金や売買益等は非課税となる一方で、これらの売買損失はないものとされます。したがって、特定口座や一般口座で保有する他の上場株式等の配当金や売買益等との損益通算はでき」ないとされています。

では、一般口座に移して、値上がりするまで塩漬けにするケースはどうなるかというと、一般口座に移した時点で、その時の時価で売却したと扱われます。例えば100円で購入した株がNISAの非課税期間満了時に50円まで値下がりしていたとすると、一般口座には50円で売却したとみなされます。当然、損が出ているので税金はかかりません。その後、この株が順調に値上がりし150円になった時点で売却したとします。この場合、本来は100円で購入したものを150円で売却したのだから50円の利益に20%の税金がかかるということになりますが、ここがNISAの怖いところで、一般口座に移した時点で取得価格は50円として扱われ、50円の株を150円で売却したため、売却益は100円と計算されます。こうなると踏んだり蹴ったりです。

ここがNISAの大きなデメリットです。今回の積立NISAの新設で長期投資が可能になるという意味では、多少はこのデメリットを回避することが出来ますが、十分ではありません。金融庁が公表している平成29年度 税制改正要望項目 の中には、積立NISAの新設とともに「非課税期間(現行:5年間)終了時の対応 」という項目を設け、まさにこの点の税制改正を提案していますが、今のところ改正は未定のようです。

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