政治資金収支報告書の監査

本日、堺市長が辞職をされるというニュースが速報で入ってきました。

ことの発端は、政治資金収支報告書への巨額な記載漏れでした。報道によると2億円を超す金額が計上されていなかったそうです。

原因として会計に精通したものが報告書の作成に携わっていなかったと説明されています。しかし、そもそも、複式簿記という仕組みの上に、この報告書が作られるのであればこのような事態は絶対に起こりえません。

近年、公会計への複式簿記の導入が主張されている背景にも通じるものがあります。

複式簿記の最大の利点は検証可能性です。つまり、ごまかしが効かないということです。堺市長の収支報告書ではいくつもの2重計上の支出が発覚しましたが、これらはマスコミ関係者が複数の報告書を隈なくチェックした結果発見されたものだと思われます。もし、複式簿記を採用して報告書を作成していれば、そもそも作成段階で発見できたはずです。

今回、2重に計上されたものを修正した結果、支出が無かったということになりますが、ではそのお金はどこに行ったのかという疑問が生じます。これに対して繰越金になっていると説明されていますが、これも検証できない為、何の根拠もありません。複式簿記を採用していれば、支出が無ければ必ず現金勘定もしくは預金勘定に残高が残るはずです。通帳の残高と突き合わせを行えば正しいかどうか直ぐにわかります。

実は我々税理士や会計士には登録政治資金監査人制度というものがあり、これに登録することにより政治資金収支報告書のチェックを行うことが出来ます。但し、現状では国会議員にしかこのチェックは適用されていないため、地方議員の報告書には外部の専門家のチェックが入っていません。今後の課題として、適用範囲の拡大は検討するべきかと思いますが、その前提として、複式簿記を採用した帳簿作成を義務付けなければ、監査の体をなしません。

実際に現状登録監査人は監査とは名ばかりで領収書の突合が主な仕事になっており、仮に監査を行ったとしても、今回と同様に収入、支出の計上漏れ、2重計上の問題は解消されなかったのではないかと思われます。

カテゴリー: 未分類 | コメントをどうぞ

消費税の増税はあるのか

今年の10月から消費税は10%に引き上げられる予定です。特に今回は公明党の達ての希望で軽減税率が初めて導入されることとなっています。

軽減税率というのは一部の商品の税率を引き下げる制度で要するに今後は10%の標準税率と8%の軽減税率が二つ存在することになります。

これは事業者にとっては大きな負担となり、導入まで半年を切ったこの時期であればレジの入れ替え、請求ソフトの更新、更には導入の為の勉強会など盛況に行われているはずですが、いまいち盛り上がっている気がしません。

2016年から導入されたマイナンバー制度では直前まで数多くのセミナーが開催され、一部のコンサルタントや社労士さんは大変潤ったと聞いていますが、軽減税率に関しては全く盛り上がっていません。

世の中の雰囲気的にも本当に引き上げが行われるのかと疑心暗鬼といったところかと思います。

そんな中、本日、官房副長官から景気の動向次第では延期するとの発言があったそうです。政府の中枢からこのような発言があればますます、対応に二の足を踏む企業は多くなるでしょう。

現在の景気は悪いとは思いませんが、力強さを感じるほどのものでもありません。この時期に増税というのはちょっと考えにくいのではないかと思っています。

もう一点、増税の緩和措置として各種ポイント還元を用意する予定のようですが、このキポイント還元を正確に理解している方がどれほどいるのでしょうか。軽減税率以上にこちらの方が分かりにくく、社員教育に時間がかかるのではないかと思います。しかも、ポイント還元期間は増税後9か月間の限定となれば、中小企業にとっては、負担以外何もいいことのない制度です。

兎も角、この時期に消費税を引き上げることは反対ですが、仮に引き上げるにしても、もう少し簡素化した制度設計にする必要性を感じます。現在報道されているような制度設計で、半年後に増税が出来るとは到底思えません。

 

カテゴリー: 未分類 | コメントをどうぞ

節税保険の規制案

昨日、拡大税制研究会という保険会社各社の集合して行われる会合にて、国税庁から節税保険に関する規制案が提示されたとのことです。

報道ベースでまだ具体的な案は見ていませんが、最も懸念していた契約済の保険への遡及適用については回避される模様です。当然ではありますが、ここ1年の節税保険の過熱ぶりから国税庁側は遡及適用を要求するのではないかと、保険会社だけでなく、実際に顧客に提案をしてきた我々税理士にとっても大きな話題になっておりました。

この点は早々に回避できそうということが分かりましたので、胸を撫でおそしているところです。

その他の規制として、これまで個別に保険契約の規制を行ってきましたが、今回は包括的に返戻率の割合に応じて損金算入さ出来る限度額を示しており、今後は税効果を見込んだ全額経費算入できる保険というものは実質的になくなります。

現状では多くの保険代理店は大口の法人保険契約は無くなっており、早急に新商品の開発が期待されております。我々税理士が過剰に保険に依存することはあまりよろしくはありませんが、一つの選択肢として今後の商品に期待しております。

 

 

カテゴリー: 未分類 | コメントをどうぞ

全損生命保険の販売停止

昨年から大ブームだった全損型の生命保険がとうとう終焉を迎えます。

過去にもがん保険など改定に追い込まれた保険商品はありましたが、今回は即日販売停止に追い込まれるという異例な対応になっています。

私は新聞報道で先日知りましたが、記事の内容は国税庁が保険の見直しを検討するという内容とともに、日本生命など大手生命保険会社は関連商品の販売を停止したという内容の記事でした。通常であれば国税当局がこのようなコメントを公表した場合でも、保険会社はこれから対応を検討するという流れになるケースが多いと思われますが、今回は公表とともに販売中止です。

これから大手以外の保険会社も販売を見合わせていくようですが、それでも今月いっぱいで全ての保険会社から節税型の全損保険は消えると思います。

記事にもありましたが、あまりにも節税効果を前面に押し出した営業に傾斜しすぎていた感は拭えません。多くの営業担当者も保険自体の説明よりも返戻率の説明に注力していたと思います。かく言う私もそれを中心に保険会社を選定してご紹介していた訳ですが・・・。

とは言え、今月中であれば、まだ加入が可能な保険会社もいくつかあります。3月決算の会社であれば来月くらいから決算予測を立てて税理士さんや保険会社の方に保険商品の情報を収集されると思いますが、今年はそういうわけにはいきません。

加入をご検討されている方は早急にご相談されることをお勧めいたします。

カテゴリー: 未分類 | コメントをどうぞ

確定申告のご案内

年末調整業務もひと段落したところですが、いよいよ確定申告本番となります。

当事務所では、主として個人事業者向けの確定申告を承っております。期日が近くなると業務の都合上、ご依頼をされてもお引き受けできないケースもございますので、申告の必要な方はお早めにご相談ください。

事業所得以外にも、2か所給与の方、譲渡所得が発生している方、住宅ローン控除の適用初年度の方などは確定申告が必要になります。

事前にご予約を頂けましたら、仕事帰りにもご相談いただけるよう、18時以降のご相談もお引き受けいたします。

カテゴリー: 未分類 | コメントをどうぞ

2018年を振り返って

例年のごとく、年末から現在まで慌ただしく、ブログの更新を怠っていました。

前日、ある税理士さんのブログを何気なく見ていると、毎年年初めに前年の総括を書かれていました。面白くて、最初から遡ってみているとその先生の事務所を始めてから現在までの経緯を伺い知ることができ、非常に参考になりました。そこで、私も真似をして、昨年の総括を記しておきたいと思います。

まず、昨年で一番大きな出来事は事務所を移転したことです。西梅田から東梅田に変わったので距離的には数百メートル程度しか移動はしていませんが、事務所自体はかなり広くなりました。前のオーナーさんからもよくこんな狭いところに何年も居たねと感心されるほど、移転前は書類であふれかえった事務所でした。きっかけは、昨年6月にあった大阪北部地震です。前の事務所は駅から1分くらいの好立地で狭いことを除けば、個人的には何の不満もなかったのですが、あの地震の時は、事務所に付くまでヒヤヒヤしていました。というのも、天井近くまで積み上げている書類が倒れて、窓から外に散乱しているのではという不安があったからです。地下鉄も止まっており、タクシーは全く捕まらない状態でしたので自転車で自宅から事務所まで駆け付けました。幸い、床に落下した程度で、最悪の事態にはなりませんでしたが、今後も同じような事態になりかねないことや、まだ始業前で誰も会社にはいませんでしたが、それこそ書類の下敷きになってケガをする心配なども考えたら、そろそろ引っ越し時かなあと思うに至り、晴れてお盆休み中に引っ越しを完了する運びとなりました。

次に業績ですが、正直なところ前年度と大きな変化はありませんでした。各種指標からも、また感覚的にも昨年は好景気と言っても良かったと思います。我々もその景気に便乗して仕事を増やすことも可能だったとは思いますが、受注はかなりセーブした年でした。

当事務所の開業が2010年ですので、丸8年が経ちましたが、開業して数年間は最低でも月2社のペースで顧問契約を増やしてきましたが、ここ1、2年は停滞期というか安定期というべきなのか、既存のお客様からの紹介だけで十分な業務量になってきたことと、業務水準を保てる人材の確保が難しいことから、積極的な営業活動を行わなくなってきました。

このまま安定的な事務所運営を行っていくというのも一つですが、やはり個人的にはもうひと踏ん張りしたいところです。

今年はどんな年になるか、楽しみです。

 

 

 

カテゴリー: 未分類 | コメントをどうぞ

これからnisa口座を作る方へ注意

最初にnisa制度が出来たのが2014年です。もともと5年間の投資を非課税にする制度として開始されましたので2018年末で丁度5年が経過することになります。そうなるとこれまでnisa口座で運用していた資産はどうすればよいのかという問題が起こります。詳しくは各証券会社のホームページなどに書かれていますのでそちらを参照していただければと思います。

簡単に纏めると①売却②課税口座へ移行する③ロールオーバーする の3パターンになりますが、注目されているのが③のロールオーバーです。これか5年間の非課税期間を更に5年間延長する制度ですので多くの方が利用されるのではないかと思います。

ここまではよく書かれているのですが、本題のこれからnisa口座を作る方の5年後はどうなるのかという点を指摘している記事を見かけないので記しておきます。

結論から言えばロールオーバーは出来ません。どいうことかというとnisaの非課税投資期間は2023年までと規定されています。ロールオーバーもnisa制度の中での仕組みなので本元のnisaが無くなればロールオーバーも存在しません。つまり今からnisa口座を作っても5年後にはnisa制度がなくなりますので当然ロールオーバーという話にもならないということです。

これからnisaを始める方はロールオーバーという制度を勘違いして10年間は非課税投資できると思って始めると大きな失敗を起こすかもしれません。

但し、nisa制度は頻繁に制度改正が行われていますので、制度自体の延長の可能性もあります。

ロールオバー制度も29年度税制改正で大きく変わりました。後から突然できた制度です。投資というのか長期的な見通しのもとで行うのが本来の姿です。制度自体に振り回されながら行うのは本来の姿とは言えません。その辺のことをもう少しよく考えて早めに制度設計を出してもらいたいものです。

 

カテゴリー: 未分類 | コメントをどうぞ

軽減税率の不思議【シャトーブリアン編】

軽減税率の導入は低所得者の税負担の回避というもっともらしい公明党の主張に端を発していると言われています。

確かに一見、人が生活するために必要な食料の税率を据え置くことは低所得者へ恩恵を与えることになりそうな気がします。

しかし、これは大きな間違いであることは少し考えれば誰でもわかりそうなことです。

世の中には高級食材と言われるものが多数あります。例えばシャトーブリアン。私はまだ食べたことはありません。

シャトーブリアンというのは牛一頭から500、600グラム程度しか取れない非常に貴重な部位だそうです。よって値段は最低でも100グラム1万円程度はするようです。

一方で我々庶民が普段食べている牛肉は100グラム300円程度です。

どちらも同じ食料品であり軽減税率の対象になります。軽減税率による恩恵はシャトーブリアンの方が大きいことは明らかです。

その他キャビアやフォアグラなども話題になっていますね。これらも高級食材の代名詞ですが同じく軽減税率の対象になります。

どれ一つとして私は食べた記憶がありません。これらを日常的に購入できるのは政治家や一部の富裕層だけです。

彼らが受けた税額軽減による優遇は結果的に社会保障の不足という形で弱者に戻ってきます。

弱者保護という仮面をつけていますが、現実には一部の富裕層優遇策に他なりません。

これが軽減税率の実態です。

 

カテゴリー: 未分類 | コメントをどうぞ

軽減税率の不思議【自動販売機編】

いまいち消費税の増税が実施されるのかはっきりしませんが、軽減税率について聞かれることも多くなっていましたので、少しずつ勉強をしています。

ところが、勉強すればするほど、摩訶不思議なことがたくさん出てきます。

軽減税率の基本は酒類や外食を除き、飲食料品の販売の際の税率を引き下げるということですが、ジュースは当然飲食料品ですので基本は軽減税率の対象になります。

私の事務所は大阪駅の近くにあり、大阪駅前第1ビル、第2ビル、第3ビルといったビル群が駅前に広がっております。ここの地下は飲食店街になっており、値段も安い為、お昼時には多くのサラリーマンが昼食をとりに来ます。食事のあとはコーヒーでも飲みながら煙草を一服したいという方も多いと思います。でも喫茶店に入ればコーヒー一杯で300円、400円とかかります。そんな層向けに、ここの地下街には自動販売機を置いた喫煙ルームがいくつも用意されています。テーブルも椅子もあります。

道端やマンションの前に置いてある自動販売機であれば単なる飲食物の販売なので軽減税率の対象になることは分かりますが、このように飲食場所の提供までしている自動販売機のコーヒーの値段はいくらになるのでしょうか。

これまで公開されている軽減税率の指南に従えば10%になるのだと思います。しかし、一方でここでジュースを買って持ち帰る方もいらっしゃるでしょう。その方は8%になります。そうすると、自動販売機で同じ缶コーヒーを購入する場合でも値段が異なってきます。

コンビニやスーパーではレジでイートインか持ち帰りかいちいち確認して値段を決めるそうですが、自動販売機にはそんなことはできません。そうなると、持ち帰り用もしくはイートイン用かの選択ボタンのようなものが自動販売機に追加されることになるのでしょうか。

ちなみに、ここの喫煙スペースにはパンやお菓子の自動販売機もあります。これらの自動販売機も同じことが言えます。購入後、設置されているスペースで飲食を行えば10%、会社に持ち帰って食べれば8%になるはずです。そうなると、これらの自動販売機にも持ち帰り用、イートイン用といった選択ボタンが必要になります。

いったい、この費用は誰が負担するのでしょうか。一時的には事業者ですが、最終的な負担は我々最終ユーザーです。誰に向けての忖度なのかわかりませんが、こんなバカげた制度の導入により対応するためのインフラコストは膨大な金額になります。それこそが無駄とは政治家は思わないのでしょうか。

 

 

カテゴリー: 未分類 | コメントをどうぞ

人手不足倒産

最近、タイトルの人手不足倒産という言葉をよく聞きます。

その名の通り、人材が確保出来ず、事業の継続が困難になることです。〇〇倒産という言葉はこれまでもよくありました。例えば黒字倒産。会計の知識が無ければ陥りがちですが、利益が出ているのにお金がないというケースです。計画倒産などという言葉もありますね。

今回の人材不足倒産というのは仕事はあるのに事業が出来ないという意味では、経営者にとって大変歯がゆい言葉です。

人材不足の流れは当社でもひしひしと感じています。ハローワークに求人を出しても、全く同じ内容にもかかわらず、数年前と比べれば申し込みの件数は大幅に減っているというレベルではありません。そもそも、応募者がいるのか否かというレベルにまでなってきています。

事務職であっれもこんな感じですので、製造業などはもっとひどいと思います。そんな中、やっと政府も思い腰を上げたというべきか、外国人の受け入れを大幅に緩和する新たな在留資格の創設に踏み切る見込みです。

具体的には単純労働者にも国内での就労を可能にするということのようです。

かつて日本人は世界各地に職を求めて移住していきました。かつてと言ってもそれほど昔ではなく1973年までは集団移民船が出ていたそうです。

そんな日系移民者のご子息には一国の大統領になる方まで現れました。今回の改正は厳密な意味での移民ではないと政府は抗弁していますが、実質的には移民制度に類似するものと言っても良いかと思います。

この改正の評価は様々な意見があるでしょうが、100年ほど前に我々の先祖が諸外国に移民した時と同じ気持ちで今後多くの外国人が日本を訪れることになりそうです。かつて、日系移民は予想もしなかった劣悪な環境の中で耐え忍んできたそうです。今後、我々が移民を受け入れる国になった時、彼らにどのようなステージを与えてあげることが出来るか、我々日本人の民意が試されることになるでしょう。

 

 

カテゴリー: 未分類 | コメントをどうぞ